チェック柄の衣装に、前髪を長く垂らしたヘアスタイル。1980年代、テレビの歌番組でチェッカーズが登場すると、ステージの一角でサックスを高らかに鳴らしていたのが藤井尚之さんでした。ボーカル・藤井フミヤさんの実の弟で、どこか照れくさそうな笑顔と、ここぞという場面で切り込むサックスのソロ。「NANA」や「Blue Rain」を作曲したのが尚之さんだと知って驚いた、という方も多いのではないでしょうか。バンドの解散から30年以上がたった今、尚之さんはどうしているのか。この記事では全盛期の活躍を振り返りながら、2026年現在の活動をたっぷりお伝えします。結論から言うと、還暦を越えた今もかなり忙しい日々を送っていらっしゃいますよ。
01藤井尚之のプロフィール
- 名前
- 藤井尚之(ふじい なおゆき)
- 生年月日
- 1964年12月27日(61歳)
- 出身地
- 福岡県久留米市
- 血液型
- A型
- 担当
- サックス、ギター、ボーカル、作曲
- 主な所属
- チェッカーズ(1983〜1992年)、F-BLOOD、アブラーズ
- ソロデビュー
- 1987年「NATURALLY」
- 家族
- 兄は藤井フミヤさん
久留米という街と、兄・フミヤさんの存在。この2つが、尚之さんの音楽人生をずっと貫いているキーワードです。
02全盛期の活躍――チェッカーズのサックスと作曲
ベースからサックスへ、久留米から東京へ
チェッカーズは福岡県久留米市の仲間たちで結成されたバンドです。尚之さんは兄のフミヤさんとともに上京し、1983年にメジャーデビューを果たしました。意外かもしれませんが、尚之さんはもともとベースを担当していたそうです。のちに大土井裕二さんがベースとして加わったことで、尚之さんはサックスへと転向したとされています。もしこの転向がなければ、あのチェッカーズのサウンドは生まれていなかったかもしれない、と思うと不思議な縁を感じますね。
デビュー曲「ギザギザハートの子守唄」、そして大ブレイクのきっかけとなった「涙のリクエスト」。チェッカーズは瞬く間に国民的な人気バンドとなり、ヒット曲を連発していきます。フミヤさんのボーカルの横で、尚之さんのサックスはバンドの「顔」ともいえる音色でした。
メンバーが自ら曲を書く時代へ
初期のチェッカーズは外部の作家陣による楽曲が中心でしたが、やがてメンバー自身が作詞・作曲を手がけるようになります。その中で作曲家として大きな存在感を見せたのが尚之さんでした。代表的なのが「NANA」。さらに「Blue Rain」「素直にI’m Sorry」「運命(SADAME)」「さよならをもう一度」など、多くの楽曲で作曲を担当しています。
アイドル的な人気を背負いながら、バンドとしての音楽性を自分たちの手で深めていった時期。その中核の一人が、最年少メンバーでもあった尚之さんだったわけです。ファンの間で「実は尚之さんの曲が好き」という声が根強いのも納得です。
バンド在籍中に始まったソロ活動
尚之さんはチェッカーズ在籍中の1987年10月、シングル「NATURALLY」でソロデビューを果たしています。バンドの人気絶頂期に並行してソロ作品を発表していたわけで、音楽家としての意欲の強さがうかがえますね。また、チェッカーズのメンバーによる変名バンド「Cute Beat Club Band」の活動もあり、バンドの遊び心を感じさせる動きもありました。
1988年8月には、開業したばかりの東京ドームで公演を行っています。この東京ドーム公演の映像は、のちに2026年になって4Kリマスター版として劇場公開されることになります(この話は後ほど)。
03解散とその後――ソロと兄弟ユニットへ
チェッカーズは1992年に解散します。約10年間、日本の音楽シーンの真ん中を走り続けたバンドの幕引きでした。その後、メンバーはそれぞれの道へ進みますが、尚之さんは一貫して「音楽の現場」に立ち続けてきました。
ソロとしての作品発表を続ける一方、1997年には兄・フミヤさんとの兄弟ユニット「F-BLOOD」を結成します。ユニット名は藤井家の「血」に由来するもので、フミヤさんが主に作詞とボーカル、尚之さんが作曲とサックスを担うというスタイルです。兄弟で音を合わせる姿は、チェッカーズ時代とはまた違った温かさがありました。
また、チェッカーズのメンバーのうち楽器演奏メンバーによるユニット「アブラーズ」の活動も続けています。2004年にドラムの徳永善也さんが亡くなった後も、アブラーズは活動を継続。現在は武内享さん、大土井裕二さん、尚之さんの3人で、それぞれユーモラスな呼び名とともにステージに立っています。
- 1964年12月福岡県久留米市に生まれる。
- 1983年チェッカーズとしてメジャーデビュー。
- 1987年10月シングル「NATURALLY」でソロデビュー。
- 1988年8月チェッカーズとして東京ドーム公演を開催。
- 1992年チェッカーズ解散。
- 1997年兄・藤井フミヤさんと兄弟ユニット「F-BLOOD」を結成。
- 2003年アブラーズとして改めてデビューライブを行う。
- 2017年F-BLOOD結成20周年。アルバム『POP'N'ROLL』を発表し全国ツアーを実施。
- 2023年11月デビュー40周年記念のセルフカバー・ベスト『Coin a Phrase』をリリース。
- 2024年還暦記念ツアー「Happy 60th Birthday tour 2024『Coin a Phrase』」を開催。
- 2025年4月藤井フミヤさんの47都道府県ツアーにバンドメンバーとして参加(2026年7月まで)。
- 2026年12月ソロツアー「藤井尚之 TOUR 2026」を開催予定(全公演完売)。
04サックス奏者そして作曲家としての素顔
「歌うサックス」と、メロディメーカーの顔
尚之さんの魅力を語るとき、やはり外せないのはサックスの音色です。チェッカーズ時代のポップスの中で鳴っていたサックスは、派手に技巧を見せつけるというより、メロディを「歌う」ような音でした。そして同時に、尚之さんはメロディメーカーでもあります。「NANA」から始まり、F-BLOODでも作曲を担当し、兄弟の楽曲を支え続けてきました。
F-BLOODとしては、ムード歌謡グループ・純烈に「奇跡の恋の物語」を提供したことも話題になりました。チェッカーズを知る世代と、純烈を応援する世代。その両方に届く曲を書けるのは、キャリアの長い作曲家ならではでしょう。
セルフカバーで振り返った40年
2023年11月に発表されたデビュー40周年記念のアルバム『Coin a Phrase』は、尚之さんのキャリアを一望できる作品です。チェッカーズ時代の「NANA」「Lonely Soldier」「I have a dream」、Cute Beat Club Bandの「NEXT GENERATION」、ソロデビュー曲「NATURALLY」、バンド解散後初のシングル「Blue Sky」などをセルフカバー。さらにインストゥルメンタルの新曲2曲も収録されています。
注目したいのは、このレコーディングを久留米の盟友バンド「The TRAVELLERS」のメンバーと一緒に行ったことです。東京の一線で活躍し続けながらも、音楽の根っこはずっと故郷・久留米にある。そんな尚之さんのスタンスが、アルバムの成り立ちそのものに表れています。
故郷・久留米の仲間とジャズの現場へ
The TRAVELLERSは、福岡・久留米を拠点に海外ツアーも行っているスウィング・ブルースバンドです。尚之さんはここ数年、「The TRAVELLERS with Naoyuki Fujii」として彼らと共演を重ねています。2025年には横浜、大阪、久留米、東京での公演に加え、福岡の「中洲JAZZ 2025」にも出演しました。
J-POPの大舞台を経験した人が、還暦を前後してジャズやブルースのライブハウス・クラブへと活動の軸を広げていく。これは「戻る」というより、少年時代から好きだった音楽のルーツへ「深めていく」旅のように見えます。ダブルテナーで吹き合うステージは、ファンの間でも評判のようです。
052026年現在の活動
兄・フミヤさんの47都道府県ツアーを完走
2026年の尚之さんを語るうえで、まず挙げたいのが兄・藤井フミヤさんのコンサートツアーへの参加です。2025年4月に始まった47都道府県をめぐるツアーは、3期に分けて計68公演という長丁場。尚之さんはサックスとギターを担当するバンドメンバーとして名を連ね、ツアーは2026年7月12日に最終日を迎えました。
セットリストにはチェッカーズ、F-BLOOD、フミヤさんのソロ曲が並んだとされ、兄弟が同じステージに立つ姿を全国のファンが見届けました。1年以上にわたって全国を回るのは体力的にも大変なはず。それをやり遂げたのですから、ファンとしては頼もしい限りですね。
年明けのTRAVELLERS公演、そして「ゆっくり」2人旅
ソロ・ユニット活動も途切れません。2026年1月21日には東京のコットンクラブで「The TRAVELLERS with NAOYUKI FUJII Live 2026」を開催。両者によるニュー・イヤー・ライヴは3年連続の開催です。
さらに9月には、WILD-Gの隈富太郎さんとの2人ライブ『YUKKURI DE! FUTARI!! 2026ツアー』を開催しています。9月5日の名古屋・ハートランドを皮切りに、東京・渋谷CLUB ASIA、福岡・ROOMS、大阪・BANANAHALLと4都市を回りました。タイトルどおり肩の力を抜いた雰囲気が伝わってくる企画で、大きなホールとはまた違う近さで尚之さんの音楽に触れられる場になっています。
F-BLOODの新曲「天気模様」がラジオ深夜便に
そして2026年秋の大きなニュースが、F-BLOODの新曲です。新曲「天気模様」が、NHK AM「ラジオ深夜便」の2026年10月〜11月の〈深夜便のうた〉に決定しました。作詞はフミヤさん、作曲は尚之さん、編曲は佐橋佳幸さん。毎日午前1時台に2か月間オンエアされるということで、夜更かし派の方や早起きの方は耳にする機会がありそうです。
チェッカーズ時代に「NANA」を書いた弟が、60代になった今も兄の詞に曲をつけている。兄弟で積み重ねてきた時間の長さを思うと、なんだかしみじみしてしまいます。
12月のソロツアーは全公演完売
年末には、ソロツアー「藤井尚之 TOUR 2026」が控えています。12月3日のBillboard Live OSAKAを皮切りに、12月5日に福岡・Gate’s7、12月16日にBillboard Live TOKYO、そして12月27日にBillboard Live YOKOHAMAという日程。各公演とも1st・2ndの2ステージ制ですが、公式サイトによれば全公演がすでに完売しています。
藤井尚之 TOUR 2026 全公演SOLD OUTとなりました。 出典:藤井尚之 Official website 2026年8月19日
最終日の12月27日は、尚之さん自身の誕生日。2024年の還暦ツアーでも誕生日当日にBillboard Live TOKYOで特別公演を行っており、その模様はBlu-ray化されました。誕生日をファンと一緒にステージで迎えるのが、すっかり恒例になりつつあるのかもしれません。
アブラーズのサミットツアーも秋に
加えて、アブラーズの「サミットツアー2026」も予定されています。10月31日の神戸・クラブ月世界から、名古屋、大阪、福岡、札幌、仙台、高崎を回り、11月22日の東京・渋谷DUOまで全8公演。元チェッカーズの楽器隊3人がそろうステージは、往年のファンにとってはたまらない時間になりそうです。
また、2026年3月20日にはチェッカーズの1988年東京ドーム公演を4Kリマスター化した映画『チェッカーズ 1988 SCREW TOUR at 東京ドーム 4Kリマスター』が全国の映画館で公開されました。ドルビーアトモスで音も蘇らせたということで、20代前半の尚之さんがサックスを吹く姿を、大きなスクリーンで改めて見られる貴重な機会となりました。
06まとめ
チェッカーズのサックス奏者として、そして「NANA」をはじめとする名曲の作曲者として80年代を駆け抜けた藤井尚之さん。解散後もソロ、F-BLOOD、アブラーズと、形を変えながら音楽を鳴らし続けてきました。そして2026年は、兄のロングツアー完走、新曲の発表、完売のソロツアーと、むしろ今が一番忙しいのでは、と思わせる充実ぶりです。
藤井尚之 2026年現在まとめ
- 兄・藤井フミヤさんの47都道府県ツアー(全68公演)にサックス・ギターで参加し、2026年7月に完走
- 2026年1月、The TRAVELLERSとのニュー・イヤー・ライヴを開催(3年連続)
- 9月には隈富太郎さんとの2人ライブ『YUKKURI DE! FUTARI!! 2026ツアー』で4都市を回った
- F-BLOODの新曲「天気模様」(作曲・尚之さん)がNHK「ラジオ深夜便」の10〜11月〈深夜便のうた〉に決定
- 12月のソロツアー「藤井尚之 TOUR 2026」は全公演完売、最終日は誕生日の12月27日
- アブラーズ「サミットツアー2026」を10〜11月に全国8か所で開催予定
もし最近チェッカーズの曲をしばらく聴いていないなら、まずは深夜のラジオから流れる「天気模様」に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。あの頃サックスを吹いていた少年が、今も変わらず兄と一緒に音楽を作り続けている。その事実だけで、なんだか少し元気がもらえる気がします。