1990年代の後半、CDショップの店頭やテレビの音楽番組で、黒い衣装に鋭いまなざしの黒夢・清春さんを見かけた記憶がある人は多いのではないでしょうか。「少年」や「Like @ Angel」が流れていた頃、ヴィジュアル系というジャンルの枠をはみ出していくような勢いがありましたよね。ただ、1999年に黒夢が活動停止してからは、テレビで見かける機会がぐっと減り、「清春さんって今どうしてるの?」と気になっている方もいると思います。実は今、清春さんはここ数年でいちばんと言っていいほど忙しく動いています。2025年には黒夢が約10年ぶりに再始動し、2026年にはセルフカバーアルバムの同時発売やアリーナ3days公演まで実現しました。この記事では、全盛期の歩みから2026年現在の活動までをまとめてご紹介します。

01清春のプロフィール

名前
清春(きよはる)
生年月日
1968年10月30日(57歳)
出身地
岐阜県岐阜市
職業
ミュージシャン、ボーカリスト
所属バンド
黒夢、SADS
デビュー
1994年、黒夢としてメジャーデビュー(東芝EMI)
代表曲
「少年」「Like @ Angel」「NITE & DAY」(黒夢)、「EMILY」(ソロ)
マネジメント
株式会社HEEK

デビューから30年以上たった今も、バンドとソロの両方で現役の第一線に立ち続けている、とても珍しいタイプのボーカリストです。

02全盛期の活躍――黒夢が駆け抜けた90年代

名古屋から全国へ、1994年のメジャーデビュー

黒夢は1991年に結成されたバンドです。名古屋のライブハウスシーンで頭角を現し、1994年に東芝EMIからメジャーデビューを果たしました。結成当初は4人編成でしたが、メンバーの脱退を経て、90年代半ばからはボーカルの清春さんとベースの人時(ひとき)さんの2人を中心とする体制になります。

この「ボーカルとベースの2人がバンドの顔」という形は当時かなり珍しく、それ自体が黒夢の個性になっていきました。清春さんの独特な声と歌い回し、人時さんのうねるようなベース。今振り返っても、2人だけで「黒夢」というブランドを背負っていたのはすごいことだったと思います。

「Like @ Angel」「少年」でヒットチャートの常連に

黒夢の名前が一般層にまで広がったのは、1996年から1997年にかけてです。1996年11月に発売された「Like @ Angel」はオリコン最高5位を記録し、テレビ番組のテーマソングにも起用されました。

続く1997年には「NITE & DAY」が週間3位、そして同年11月発売の「少年」がオリコン最高3位、13週にわたってチャートインするヒットになりました。「少年」は自動車のCMソングとしても流れていたので、黒夢を知らなかった人でも、あのイントロとサビは耳に残っているかもしれません。

『Drug TReatment』と『CORKSCREW』――ロックへの振り切り

アルバムでは、1997年の『Drug TReatment』と、1998年の『CORKSCREW』がこの時期の代表作として語り継がれています。特に『CORKSCREW』は、ヴィジュアル系的な耽美さから、よりパンク寄りでストレートなロックサウンドへと大きく舵を切った作品として知られ、黒夢のオリジナルアルバムのなかでも特に売れた1枚とされています。

この2作が、30年近くたった2026年にセルフカバーという形で蘇ることになるのですから、やはり黒夢にとって特別な作品だったのでしょう。

年間100本超えのライブで「現場」を大事にしたバンド

黒夢は、テレビやチャートでの露出が増えても、ライブを最優先にするバンドでした。1997年から1998年にかけては、2年間で200本以上のライブをこなしたとされています。ヒットを飛ばしながらも、地方のライブハウスを回り続けるスタイルは、今の清春さんのツアー中心の活動にそのままつながっているように見えます。

03活動停止からソロへ――清春の30年

人気の絶頂にあった黒夢ですが、1999年1月29日に無期限の活動停止を発表します。ファンにとっては突然の知らせでした。ただ、清春さんは立ち止まることなく、同じ1999年のうちに新バンドSADSを結成。SADSは同年7月にシングル「TOKYO」でメジャーデビューし、黒夢とはまた違う、よりハードでダークなロックを鳴らしました。

2003年にSADSが活動を休止すると、清春さんはソロ名義での活動を本格化させます。シングル「EMILY」、1stアルバム『poetry』などをリリースし、ここから現在まで続く「ソロアーティスト清春」の歩みが始まりました。

その後、黒夢は2009年1月29日に日本武道館で一夜限りの復活と解散ライブを行います。ところが翌2010年に再始動を発表し、2011年にはシングル「ミザリー」、アルバム『Headache and Dub Reel Inch』を発表。2014年にはアルバム『黒と影』のリリースと「最後のロングツアー」と銘打ったツアーを行い、ふたたび表舞台から離れました。一方、SADSも2010年に再結成し、清春さんは複数の名義を行き来しながら活動を続けていきます。

  • 1991年黒夢を結成。名古屋を拠点に活動を始める。
  • 1994年東芝EMIからメジャーデビュー。
  • 1996年11月「Like @ Angel」を発売、オリコン最高5位。
  • 1997年11月「少年」を発売、オリコン最高3位のヒットに。
  • 1999年1月黒夢が無期限の活動停止を発表。同年SADSを結成し、7月に「TOKYO」でメジャーデビュー。
  • 2003年SADSが活動休止。清春さんがソロ活動を本格化させる。
  • 2009年1月黒夢が日本武道館で一夜限りの復活と解散ライブを開催。
  • 2010年黒夢が再始動を発表。SADSも再結成。
  • 2014年黒夢がアルバム『黒と影』を発表し、「最後のロングツアー」を開催。
  • 2024年3月ソロアルバム『ETERNAL』を発売。全曲未発表曲の14曲入り。
  • 2025年2月デビュー30周年企画の一環として、黒夢が約10年ぶりに再始動。
  • 2026年7月セルフカバー『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』を同時発売。TOYOTA ARENA TOKYOで3days公演。

こうして並べると、「活動停止」「解散」「再始動」が何度も出てきて少しややこしいですよね。ただ、その間ずっと清春さん自身が歌うことをやめていない、というのが大事なポイントです。名義が変わっても、ステージに立ち続けた30年だったと言えそうです。

04ソロアーティスト清春という生き方

「バンドのボーカル」から「清春」そのものへ

黒夢やSADSのイメージが強い方には意外かもしれませんが、清春さんのキャリアのなかで最も長く続いているのは、実はソロ活動です。2003年以降、20年以上にわたってソロ名義でアルバムを出し、全国ツアーを回り続けてきました。

ソロでの清春さんは、バンド時代の攻撃的なロックだけでなく、メロウなバラードや、アコースティック編成でじっくり歌を聴かせるステージにも力を入れています。2026年に追加公演が決まった「all time songs library」という公演も、自身の音楽の軌跡をたどる内容として案内されていて、ボーカリストとしての表現の幅を感じさせます。

2024年『ETERNAL』と30周年イヤー

2024年3月20日には、通算11作目、約4年ぶりとなるソロアルバム『ETERNAL』を発売しました。全14曲がすべて未発表曲という構成で、デビュー30周年を迎える節目の作品と紹介されています。

この30周年は、清春さんにとって1年がかりの大きなプロジェクトでした。デビュー記念日の2月9日を起点に、およそ1年間を通したツアーが組まれ、そのなかで「黒夢の再始動」という大きなサプライズにもつながっていきます。過去の名曲を懐かしむだけでなく、新作を出したうえで節目を迎えた、というところに清春さんらしさを感じます。

「ライブの人」であり続けること

清春さんを語るうえで欠かせないのが、とにかくライブの本数が多いことです。所属事務所の発表によると、黒夢の再始動と並行しながら、2025年から2026年にかけて約100公演というハイペースでツアーを行っているとのこと。しかも大都市だけでなく、10年、20年以上ぶりに訪れる地方都市も多く含まれています。

90年代に黒夢が年間100本を超えるライブで全国を回っていたことを思い出すと、50代後半になった今も同じ熱量で旅を続けている姿には、素直に驚かされます。

052026年現在の活動

黒夢、約10年ぶりの再始動から2年目へ

まず大きなトピックは、黒夢の本格的な再始動です。黒夢は2025年2月9日、清春さんのメジャーデビュー30周年企画の一環として、東京ガーデンシアターで約10年ぶりのステージに立ちました。2月11日にはぴあアリーナMMでの公演も行われ、約9,000人が集まったと報じられています。

当時の報道によると、清春さんと人時さんはこの10年間、直接連絡を取ることはなく事務所を通してやりとりしていたそうです。そんななか、清春さんが「お互い30周年だし」と声をかけたことで、復活が実現したといいます。

お互い30周年だし 出典:デイリースポーツ 2025年2月12日(再始動を人時さんに持ちかけた際の言葉として報道)

ステージでは、ファンが「僕たちの青春であるこのバンド」の30年後を見てくれることへの感謝も口にしたそうです。

その後も黒夢は2025年にZeppツアーを行うなど活動を継続。単発の記念ライブで終わらず、2026年に入ってさらにスケールを広げていきました。

セルフカバー2作同時発売とTOYOTA ARENA TOKYO 3days

2026年7月15日、黒夢は初のセルフカバーアルバム『Drug TReatment 2026』と『CORKSCREW 2026』を同時発売しました。90年代の代表作2枚を、現在の黒夢として全曲新たに録り直した作品で、それぞれ12曲を収録。初回限定盤にはMVのメイキングやインタビュー、Zeppツアーのドキュメント映像を収めたBlu-rayが付属します。

発売直後の7月17日から19日には、TOYOTA ARENA TOKYOで3日間の公演「THE PERFECT DAYS TO DIE」を開催。オープニングを飾った「Spray」から、「DRIVE」「NITE & DAY」「MARIA」「少年」「Like @ Angel」「BEAMS」など、黒夢の代表曲が次々と披露されました。最終日の7月19日は人時さんの誕生日で、人時さん自身が選んだセットリストで行われ、アンコールではサプライズのバースデーケーキが登場し、清春さんが生歌でお祝いしたそうです。2日目の公演はWOWOWで放送・配信もされました。

アリーナで3日間というのは、90年代の全盛期を知る人から見ても驚く規模ではないでしょうか。

東京ガーデンシアターで「57歳最後」のステージ

9月6日には、同じ「THE PERFECT DAYS TO DIE」の名を冠して東京ガーデンシアター公演を開催。約7,000人を動員し、全20曲、約2時間30分のステージだったと報じられています。

57歳最後のワンマンのステージです! 出典:デイリースポーツ 2026年9月6日

MCで自らの年齢をネタにして会場を沸かせた清春さん。後半のMCでは、最近は幸せに過ごせていることへの感謝と、その幸せがファンにも広がってほしいという思いを語ったそうです。かつての尖ったイメージを知っていると、こうした穏やかな言葉が出てくるのも感慨深いですね。

今後の黒夢の予定としては、2026年10月30日にLINE CUBE SHIBUYA公演が控えており、2027年2月8日から3月13日にかけては「KUROYUME 2027 ZEPP TOUR『2027』」として、KT Zepp横浜、Zepp福岡、Zepp札幌、Zepp大阪Bayside、Zepp名古屋、Zepp羽田を回ることが発表されています。仙台公演の追加も発表されたと報じられました。また、2026年8月1日にはオフィシャルメンバーズサイト「黒夢 OFFICIAL MEMBERS SITE【2027】」もオープンしています。

ソロツアー『余る程に楽園』で全国を旅する日々

黒夢と並行して、清春さんはソロでも精力的にツアーを続けています。2026年の全国ツアー『余る程に楽園』は、2月9日の恵比寿LIQUIDROOM公演からスタートし、6月までの前編で18公演を実施しました。

6月18日に発表された後編は、8月の新宿ReNY2公演を皮切りに、秋田CLUB SWINDLE、青森Quarter、代官山UNiT、BLAZE GOTANDA、高松DIME、徳島club GRINDHOUSE、郡山HIPSHOT JAPAN、山形SESSIONを経て、12月29日・30日の水戸LIGHTHOUSEで締めくくられる日程です。秋田公演は過去の活動を含めて約24年ぶり、ソロとしては初めての開催とのことで、地元のファンにとってはまさに待望の機会になりそうです。

さらに、自身の音楽の軌跡をたどる「all time songs library」の追加公演として、12月19日に京都劇場、2027年1月31日にEX THEATER ROPPONGIでの公演も決定。ツアー『余る程に楽園』は2027年にも続き、周南や松江、宮崎など同ツアーとして初めて訪れる土地を含む2027年の公演スケジュールも発表されたと報じられています。

黒夢でアリーナを満たしながら、ソロではライブハウスで地方を回る。大きな会場と小さな会場の両方を行き来するこのバランスこそ、2026年の清春さんの姿だと言えそうです。

06まとめ

90年代に黒夢でヒットチャートを駆け上がった清春さんは、2026年の今、黒夢とソロの二本立てでかつてないほど濃密な活動を続けています。テレビで見かける機会は減ったかもしれませんが、それは表舞台から消えたのではなく、ライブという「現場」に軸足を置き続けてきたからこそ、と言えるでしょう。

清春 2026年現在まとめ

  • 黒夢は2025年2月、清春さんのデビュー30周年企画の一環として約10年ぶりに再始動
  • 2026年7月15日、初のセルフカバー『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』を同時発売
  • 7月17〜19日にTOYOTA ARENA TOKYOで3days公演「THE PERFECT DAYS TO DIE」を開催
  • 9月6日の東京ガーデンシアター公演は約7,000人を動員
  • 10月30日にLINE CUBE SHIBUYA公演、2027年2〜3月に全国Zeppツアーを予定
  • ソロでは全国ツアー『余る程に楽園』を展開し、2025年から約100公演のハイペース
  • 12月19日京都劇場、2027年1月31日EX THEATER ROPPONGIで「all time songs library」公演も

「少年」を聴いていたあの頃の自分と同じように、今もどこかのライブハウスで清春さんの歌に心を揺さぶられている人がいる。そう考えると、なんだか嬉しくなりませんか。久しぶりに黒夢のアルバムを聴き返してみるのもいいですし、もし近くの街にツアーが来るなら、思い切って足を運んでみるのもおすすめです。30年分の重みを増したあの声は、きっと今も変わらず響いてくるはずです。