黒い衣装に身を包んだ少女が、無表情のまま拳を突き上げる——2016年、「サイレントマジョリティー」のセンターに立った15歳の平手友梨奈さんは、それまでのアイドル像を根底から塗り替えてしまいました。「てち」の愛称で親しまれ、絶対的センターとして君臨した彼女が欅坂46を脱退したのは2020年1月。あれから6年、平手さんの名前を久しぶりに聞いたのは2026年2月の結婚報道だったという方も多いのではないでしょうか。実は今、彼女は俳優としてもソロアーティストとしても、かつてないほど充実した時期を迎えています。2026年現在の平手友梨奈さんを、全盛期の記憶とともにたどっていきます。

01平手友梨奈のプロフィール

名前
平手 友梨奈(ひらて ゆりな)
愛称
てち
生年月日
2001年6月25日(25歳)
出身地
愛知県
身長
163cm
所属
クラウドナイン
主な活動
俳優・アーティスト
元所属グループ
欅坂46(2015年〜2020年)
代表作
「サイレントマジョリティー」「不協和音」/映画「響 -HIBIKI-」

2026年で25歳。あの「サイレントマジョリティー」のセンターがまだ15歳だったことを思うと、時の流れを感じますね。

02全盛期の活躍――欅坂46の絶対的センターとして

最年少合格から、いきなりのセンター

平手友梨奈さんが芸能界に足を踏み入れたのは2015年8月。欅坂46の1期生オーディションに、最年少で合格しました。そして翌2016年4月、グループのデビューシングル「サイレントマジョリティー」で初選抜入りを果たすと同時に、いきなりセンターポジションを任されます。当時まだ14歳から15歳になったばかりの少女に、グループの命運を託すという大抜擢でした。

結果は、ご存じのとおりです。「サイレントマジョリティー」は社会現象と呼べるヒットとなり、平手さんの鋭い眼差しと圧倒的な存在感は、デビュー曲にして「この子は何かが違う」と観る者に確信させるものでした。

「不動のセンター」と呼ばれた日々

その後も平手さんは「世界には愛しかない」「二人セゾン」「不協和音」と、シングルのセンターを連続して務め続けます。8thシングル「黒い羊」まで、リリースされたすべてのシングルでセンターに立ち続けた事実は、「不動のセンター」という異名がまったく誇張でないことを示しています。

特に2017年の「不協和音」は、平手さんの表現者としての凄みが最も鮮烈に刻まれた1曲でしょう。「僕は嫌だ」と叫ぶあのパフォーマンスを、音楽番組で目にして息を呑んだという方も多いはず。振り付けの激しさから、ステージ上で倒れ込むこともしばしばで、その全身全霊ぶりは時に痛々しくもありました。

アイドルの枠を壊した表現

平手さんが特異だったのは、笑顔で愛想を振りまく従来のアイドル像を、まったく踏襲しなかったことです。無表情、あるいは怒りや葛藤をそのまま身体にぶつけるようなパフォーマンス。それは「かわいさ」を消費する対象としてのアイドルではなく、ひとりの表現者としての姿でした。

だからこそ、同世代の若者から圧倒的な支持を得たのだと思います。うまく言葉にできない鬱屈や違和感を、彼女が代わりに叫んでくれている——そう感じたファンは少なくありませんでした。

俳優としての才能も早くから開花

2016年7月には、メンバー総出演のテレビ東京系ドラマ『徳山大五郎を誰が殺したか?』で連続ドラマに初出演。さらに2018年には映画『響 -HIBIKI-』で、映画初出演にしていきなりの初主演を務めます。

この作品での演技が高く評価され、平手さんは第42回日本アカデミー賞・新人俳優賞、そして第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞新人賞を受賞しました。授賞式では、演技への向き合い方についてこう語っています。

お芝居に対して「自分に嘘をついているんじゃないか」と疑問を持っていたのですが、そんなことはなく自然体でやれたのがすごく嬉しかったです 出典:シネマトゥデイ 第42回日本アカデミー賞授賞式

アイドル活動と並行しながら、映画初主演で新人賞を獲ってしまう。この時点ですでに、彼女が「アイドル」という肩書きに収まりきらない存在であることは明らかでした。

03脱退という選択とその後の歩み

グループの象徴として走り続けた平手さんですが、2020年1月23日、欅坂46からの脱退が公式サイトで発表されます。当時18歳。ファンにとっては衝撃的な報せでした。

  • 2015年8月欅坂46の1期生オーディションに最年少で合格。
  • 2016年4月デビューシングル「サイレントマジョリティー」でセンターを務め、鮮烈なデビューを飾る。
  • 2017年4月「不協和音」で表現者としての評価を決定づける。
  • 2018年9月映画『響 -HIBIKI-』で映画初出演かつ初主演。
  • 2019年3月第42回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。
  • 2020年1月欅坂46を脱退。同年3月からソロとしての活動を開始。
  • 2021年映画『さんかく窓の外側は夜』『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』、ドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』に出演。
  • 2022年ドラマ『六本木クラス』に出演。
  • 2023年7月公式X・Instagramを開設。ファンから歓喜の声が上がる。
  • 2025年8月初のワンマンライブ「平手友梨奈 1st LIVE “零”」をZepp DiverCity(TOKYO)で開催。
  • 2026年2月俳優・神尾楓珠さんとの結婚をInstagramで発表。
  • 2026年6月ソロ初のアルバム『無表情な表情』をリリース。

脱退の理由について、平手さんは当時、多くを語りませんでした。同日放送のラジオ番組では、「今は話したいと思わないが、いつか話したいと思ったときに、お話ししたい」という趣旨のコメントを残しています。

「卒業」ではなく「脱退」という言葉が選ばれたことも、当時さまざまな受け止められ方をしました。ただ、いずれにせよ本人が公に理由を説明していない以上、外野が憶測で断定するべきことではないでしょう。確かなのは、10代の少女が国民的グループの重心を一身に背負い続けた数年間があった、という事実です。

04表現者としての再出発

俳優としてキャリアを積み重ねる

脱退後の平手さんは、2020年3月からソロとしての活動を開始します。まず着実に実績を重ねたのが俳優業でした。

2021年には映画『さんかく窓の外側は夜』『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』に出演し、同年のドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』にも登場。2022年には話題作となったドラマ『六本木クラス』、2023年には『うちの弁護士は手がかかる』と、コンスタントに映像作品へ出演し続けています。

アイドル時代の強烈なイメージがある人ほど、俳優としてはそれが足枷になりがちです。それでも平手さんは、作品ごとに異なる顔を見せながら、「元欅坂46の平手友梨奈」ではなく「俳優・平手友梨奈」として認知される道を、時間をかけて歩んできました。

待ち望まれた公式SNSの開設

脱退後しばらく、平手さんは自身の言葉を発信する場をほとんど持っていませんでした。そんな中、2023年7月18日に公式X(旧Twitter)と公式Instagramが開設されると、ファンからは「待ってました」「夢かな」といった歓喜の声が殺到。世界中から反響が寄せられたことが各メディアで報じられました。

沈黙が長かったぶん、本人の言葉が直接届くようになったことの意味は大きかったですね。

音楽への回帰

そしてもうひとつ、平手さんが本格的に踏み出したのが、ソロアーティストとしての音楽活動でした。2025年には「I’m human」「イニミニマイニモ」「ALL I WANT」といった楽曲を配信リリース。中でも「I’m human」は平手さん自身が作詞を手がけ、自身の葛藤や生きる意思を綴った歌詞と重厚なサウンドが印象的な1曲です。

同年10月には「失敗しないメンヘラの育て方」が配信リリースされ、TVアニメ『渡くんの××が崩壊寸前』第2クールのエンディングテーマにも起用されました。

052026年現在の活動

ソロ初アルバム『無表情な表情』をリリース

2026年6月3日、平手さんはソロ初となるアルバム『無表情な表情』をリリースしました。これまで配信してきた楽曲に加え、未発表曲や新曲を含む全10曲を収録した、ソロアーティスト・平手友梨奈の現在地を示す1枚です。

収録曲には「bleeding love」「ALL I WANT」「イニミニマイニモ」「Shooting Star」「I’m human」「俺らの未来」「失敗しないメンヘラの育て方」「Kill or Kiss」「イマジナリーフレンド」「あざ」が並びます。中でも「Kill or Kiss」は、TVアニメ『マリッジトキシン』のオープニング主題歌として2026年4月に先行配信された楽曲です。

『無表情な表情』というタイトル、いかにも平手さんらしいと思いませんか。無表情であることそれ自体が最大の表現だった、あのセンター時代を知る人ほど響くタイトルです。

ソロ初の日本武道館ライブが決定

2026年、ファンにとって最大のニュースが、ソロ初となる日本武道館公演の決定でした。

2025年8月21日にZepp DiverCity(TOKYO)で開催された初のワンマンライブ「平手友梨奈 1st LIVE “零”」から、ちょうど1年。2026年8月20日、平手さんは東京・日本武道館のステージに立ちます。公演タイトルは「アナタタチノカルテ」。開場18時、開演19時で、全席指定での開催です。

なお、初のワンマンライブ「零」の模様は、2026年2月4日にソロ初のライブBlu-ray&DVD『1st LIVE “零”』として発売されました。ライブ本編に加え、リハーサルなどの舞台裏を追ったドキュメンタリー映像も収録されています。

武道館のステージに立つ25歳の平手さんが何を見せてくれるのか、これは楽しみですね。

俳優・神尾楓珠さんとの結婚

そして2026年2月11日、平手さんは俳優の神尾楓珠さんとの結婚を、自身のInstagramを通じて発表しました。神尾さんは1999年1月21日生まれ、東京都出身の俳優で、2015年にドラマ『母さん、俺は大丈夫』でデビューした人物です。

発表は書面の形で行われ、平手さんは「それぞれの歩んできた道が交差し、こうして一つの道となりました。日々感謝の気持ちを忘れずに、自分たちらしく歩んでまいります」と綴りました。突然の発表にSNS上では驚きの声が一斉に広がり、大きな話題となったことは記憶に新しいところです。

神尾さん自身が結婚生活について語ったのは、発表から5か月後のことでした。2026年7月12日放送の日本テレビ系『おしゃれクリップ』に出演した際、心境の変化をこう明かしています。

自分のために頑張るのには限界がある。誰かのために頑張るって楽しいです 出典:マイナビニュース 2026年7月13日

同番組では、結婚の決め手について「この人のために頑張りたいと思ったところはありますね」とも語り、一人暮らし時代は外食中心だった食生活が「基本的には自炊して食べるようになりました」と変化したことも明かしています。得意料理はかぼちゃのグラタンだそうです。

かつて「僕は嫌だ」と叫んでいた少女が、こうして穏やかな家庭の話題とともに語られるようになった。ファンにとっては、感慨深いものがありますね。

表現の場を広げ続けて

2026年の平手さんは、アルバムリリース、武道館公演、そして私生活の節目と、公私ともに大きな年を迎えています。アルバム『無表情な表情』の発売に合わせてPOP-UP STOREが開催されるなど、ファンとの接点も着実に増えました。

10代のすべてをグループに捧げ、その後は俳優として、そしてアーティストとして自分の足で立ち直してきた6年間。今の平手さんは、誰かに用意された場所ではなく、自分で選んだ場所で表現している——そんな印象を受けます。

06まとめ

15歳でアイドルの概念を書き換え、18歳でその場所を離れた平手友梨奈さん。あの頃の鮮烈さを覚えている人ほど、脱退後の空白期間を心配していたかもしれません。でも2026年現在の彼女は、俳優とアーティストという二つの表現の場を手に入れ、これまでで最も自由に見えます。

平手友梨奈 2026年現在まとめ

  • 2020年1月に欅坂46を脱退後、俳優・アーティストとして活動中(所属はクラウドナイン)
  • 2026年6月3日、ソロ初アルバム『無表情な表情』をリリース(全10曲収録)
  • 2026年8月20日、ソロ初となる日本武道館公演「アナタタチノカルテ」を開催予定
  • 2026年2月4日にソロ初のライブ映像作品『1st LIVE “零”』を発売
  • アニメ『マリッジトキシン』OP「Kill or Kiss」など、タイアップ曲も継続的に発表
  • 2026年2月11日、俳優・神尾楓珠さんとの結婚をInstagramで発表
  • 映画『響 -HIBIKI-』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した実力派俳優としての顔も

「サイレントマジョリティー」であの拳を突き上げてから、10年。2026年8月、武道館のステージに立つ平手友梨奈さんは、もう誰かの期待を背負わされた少女ではなく、自分の意思で歌う25歳のアーティストです。無表情の奥にあったものを、これからどう表現していくのか。その歩みを、これからも見守っていきたいですね。