「仮面舞踏会」のイントロが鳴った瞬間、テレビの前で思わず背筋が伸びた——そんな記憶をお持ちの方、けっこう多いんじゃないでしょうか。少年隊の真ん中で、あの丸っこい笑顔とキレのあるダンスを両立させていたのが植草克秀さん、通称「カッちゃん」です。歌って、踊って、芝居もして。1980年代のアイドル像をまるごと背負っていた人でした。ところが2020年にグループの活動が止まって以降、テレビで姿を見る機会はぐっと減りました。あの人は今どうしているのか。実は今の植草さん、ステージの上ではむしろ以前より忙しく、2026年夏には還暦を迎えて新ユニットまで立ち上げています。順を追って見ていきましょう。
01植草克秀のプロフィール
- 本名
- 植草克秀(うえくさ かつひで)
- 生年月日
- 1966年7月24日(2026年8月現在 60歳)
- 出身地
- 千葉県千葉市
- 身長
- 170cm
- 血液型
- O型
- 愛称
- カッちゃん
- デビュー
- 1985年12月12日/少年隊「仮面舞踏会」
- 所属
- 株式会社2steps(2021年設立の個人事務所)
千葉市出身、1980年2月の事務所入所ですから、芸能生活はもう46年目に突入しています。少年隊のメンバーカラーは黄色。あの明るい色がよく似合う人でした。
02全盛期の活躍――少年隊とPLAYZONEの時代
「仮面舞踏会」で刻んだ衝撃のデビュー
少年隊がレコードデビューしたのは1985年12月12日。錦織一清さん、東山紀之さん、そして植草さんの3人が、「仮面舞踏会」で華々しく歌謡界に登場しました。当時のアイドルとしては異例なほど、デビュー前からバックダンサーやテレビ出演で場数を踏んでいたグループで、いきなり完成されたパフォーマンスを見せつけたのが衝撃でした。翌1986年の「デカメロン伝説」、そして「STRIPE BLUE」「まいったネ 今夜」「ABC」と、続くシングルはどれも当時の音楽番組の空気を塗り替えるような楽曲ばかり。とりわけ「ABC」は、今なお植草さんのライブで歓声がひときわ大きくなる一曲です。
3人の中で植草さんは、伸びやかな高音と、体幹の強さを感じさせるダンスが持ち味でした。錦織さんの器用さ、東山さんのシャープさに対して、植草さんは「陽」の担当。カメラが抜いたときのあの笑顔で、グループ全体の温度が一段上がるようなところがありました。
ミュージカル『PLAYZONE』という巨大な財産
少年隊を語るうえで外せないのが、1986年にスタートしたミュージカル『PLAYZONE』シリーズです。毎年夏、青山劇場を拠点に上演され、3人は2008年に卒業するまで20年以上にわたって主演を務め続けました。歌とダンスと芝居を一本の舞台で成立させる——今でこそ当たり前になった「アイドルが舞台に立つ」というスタイルを、日本で定着させた立役者と言っていい存在です。
累計公演数は800を超え、後輩たちが出演者として名を連ねていったことでも知られます。植草さんにとっても、この舞台で培った「毎日ステージに立ち続ける体力と技術」が、のちのソロ活動の土台になっていくわけです。
俳優としての顔——刑事から「渡鬼」まで
テレビドラマでも植草さんは息の長い仕事を残しています。1988年の時代劇スペシャル『忠臣蔵・いのちの刻』では大石主税役を演じ、1990年からはテレビ朝日系『さすらい刑事旅情編』シリーズに桜田亮太役でレギュラー出演。5シリーズにわたって刑事役を務めました。
さらに1993年からはTBS系『渡る世間は鬼ばかり』に本間英作役で初代キャストとして参加。国民的ホームドラマの一角に、アイドルグループのメンバーが違和感なく収まっていたのは、なかなかすごいことです。映画では『あいつとララバイ』『19 ナインティーン』などに出演し、アニメ映画『ヴイナス戦記』では声優にも挑戦しています。アイドル・歌手・舞台俳優・ドラマ俳優と、80〜90年代の植草さんはとにかく守備範囲が広かった。
03グループ活動停止と独立までの歩み
転機は2020年でした。同年9月、錦織さんと植草さんが年内で事務所を退所することが発表されます。グループ名としての「少年隊」は残されたものの、実質的に活動は止まりました。デビュー35周年のその年、12月12日にはベストアルバム『少年隊 35th Anniversary BEST』が発売され、これが一つの区切りとなります。
退所後、植草さんは立ち止まりませんでした。2021年1月16日、自身の会社兼個人事務所「2steps」を設立。会社設立を伝える音楽ナタリーの記事では「マイペースな僕ですが、なが~い目で見守っていて」という本人コメントが紹介されました。この「マイペース」という言葉、その後の活動を追っていくと本当にそのとおりで、大きな話題を狙うより、目の前のステージを一つずつ積み上げる道を選んでいきます。
同じ年の9月には、錦織さんと共同でYouTubeチャンネル「ニッキとかっちゃんねる」を開設。少年隊の年表を2人で振り返る企画などが並び、長年のファンにとっては貴重なアーカイブになりました。
- 1980年2月ジャニーズ事務所に入所。13歳での芸能生活スタート。
- 1985年12月少年隊「仮面舞踏会」でレコードデビュー。
- 1986年ミュージカル『PLAYZONE』シリーズがスタート(2008年に卒業)。
- 1990年〜『さすらい刑事旅情編』『渡る世間は鬼ばかり』などドラマに継続出演。
- 2020年9月錦織一清さんとともに年内での事務所退所を発表。12月にベスト盤が発売される。
- 2021年1月個人事務所「2steps」を設立し、独立後の活動を開始。
- 2021年9月錦織さんとYouTube「ニッキとかっちゃんねる」を開設。
- 2024年7月作曲家・井上ヨシマサさんの40周年アルバムに参加し「EXCUSE」をデュエット。
- 2025年少年隊デビュー40周年イヤー。ソロツアー『MOVING ON -4th Season-』を開催。
- 2026年5月『2026 MOVING ON〜5th season〜』を東京・兵庫で開催。
- 2026年7月24日60歳の誕生日。バースデーライブで新ユニット「ROX66」結成を発表。
04ひとり少年隊と呼ばれる理由
独立後の植草さんを語るとき、ファンのあいだで定着している呼び名があります。「ひとり少年隊」です。ソロコンサートでもディナーショーでも、少年隊のヒット曲を惜しみなくセットリストに並べ、3人分のパートを1人で歌い切る。背後のスクリーンには、往年のジャケット写真が映し出される——そんなステージを続けてきたからです。
3人がそろって歌う姿は、『PLAYZONE』を卒業した2008年以降ほとんど見られなくなりました。東山さんは2023年に芸能界を引退し、錦織さんは俳優・演出家としてソロの道を歩んでいます。グループとしての再始動を望む声は根強くあるものの、状況は簡単ではありません。
それでも植草さんは、グループの看板を降ろそうとしません。2024年10月にフジテレビ系『ぽかぽか』へ出演した際には、再結成について問われてこう答えています。
解散はしてないです。 出典:東スポWEB 2024年10月21日
同じ番組では「1人でやってるよりはやっぱり、2人いたほうがいいですよね。1人で歌うのは寂しいもんです」とも語り、他の2人に対して「2人がいたから自分がいる」と感謝を口にしています。3人の中でいちばん「少年隊愛」が強いのは植草さん、というのがファンの一致した見方のようです。
その思いが最もはっきり表れたのが、デビュー40周年にあたる2025年5月のソロツアー東京公演でした。アンコールで「40周年を迎えられると思っていなかった。本当は3人でやりたかった」と涙をこぼし、客席からも涙。さらに「次は東山さんのファン、錦織さんのファン、植草のファンが集まって、3人の歌をみんなで歌えたら」と続けたと各紙が伝えています。この日のステージは、ただの懐かしさではなく、まだ終わっていない物語として受け止められました。
052026年現在の植草克秀
ソロツアー『MOVING ON』は5シーズン目へ
2026年の植草さんは、年間を通してステージ漬けです。5月3日・4日に東京の日本橋三井ホール、5月16日・17日に神戸朝日ホールで『2026 MOVING ON〜5th season〜』を開催。独立後に始めたこのツアーは、これで5年目のシリーズとなりました。
5月4日の東京公演では、少年隊のシングルをリリース順につないだメドレーを、なんと20分間ノンストップで踊り切ったと報じられています。7月に還暦を迎えるにあたって腹囲を約20センチ絞ったというから、その本気度がうかがえます。この日、5月末で活動を終えた後輩グループ・嵐へのエールも送りました。
グループに終わりはない。歴史と誇りは絶対に残る。 出典:サンケイスポーツ 2026年5月5日
グループ活動が止まる痛みを誰よりも知っている人の言葉だけに、重みがあります。
なお2月26日にはZepp Hanedaで『KATSUHIDE UEKUSA ENCORE!MOVING ON〜まだまだ見たい40周年〜』も開催。2025年12月12日にグランドプリンスホテル大阪ベイで行われたディナーショー『HOTEL de SHOW & TIME― 40th ANNIVERSARY ―』と併せて、2026年7月にLIVE Blu-ray『THANK YOU FOR 40 YEARS SPECIAL LIVE』として商品化されました。
還暦バースデーライブと新ユニット「ROX66」
そして2026年最大のトピックが、7月に行われた還暦記念公演『KATSUHIDE UEKUSA「Cheers to 60 years!」』です。7月21日に大阪・なんばHatch、24日に東京・ニッショーホール、30日に名古屋・DIAMOND HALLという3都市ツアー。誕生日当日の東京公演では、メンバーカラーの黄色ではなく赤いロングジャケットで登場し、「ABC」などを披露。約1000人の観客からバースデーケーキで祝福されたと伝えられています。
この日、サプライズ発表がありました。少年隊に数多くの楽曲を提供してきた作曲家・井上ヨシマサさん(同学年の1966年生まれ)と組む新ユニット「ROX66」の結成です。ファーストミニアルバム『SIDE BY SIDE』を9月16日にリリースし、10月1日にはKT Zepp Yokohamaでライブを行うことが発表されました。この公演は『植草ヨシマサ 着地点は御座いません』というタイトルで告知されています。60歳を迎えた年に、新しい名義でゼロから作品を出す——なかなかできることではありません。
「年齢逆行宣言」と俳優業の再開
還暦を迎えた心境について、7月27日配信のテレビ朝日系(ANN)の取材では、こんな軽やかな答えを返しています。
自分ではまだピンと来ないんですよ。だから、来年から59歳と今度は下げようかと。 出典:テレビ朝日系(ANN) 2026年7月27日
いわゆる「年齢逆行宣言」。この飄々とした感じ、まさにカッちゃんという気がします。
俳優としての露出も戻ってきました。2026年4月22日放送のテレビ朝日系ドラマ『ボーダレス〜広域移動捜査隊〜』第3話に、不審者・深沢智導役でゲスト出演。同話には南野陽子さんも登場し、80年代のトップアイドル同士がドラマで初共演を果たしました。さらにレギュラー陣の井ノ原快彦さん、主演の佐藤勝利さん(timelesz)と合わせて「アイドル3世代共演」として話題になり、撮影の合間には昔話に花が咲いたと報じられています。
秋以降のスケジュールも続々
7月29日には2026年のディナーショーとファンツアーの案内も公式サイトで告知され、『HOTEL de SHOW&TIME 2026』、そして少年隊のデビュー日である12月12日にちなんだ『Anniversary Journey in OSAKA〜December 12 Celebration〜』の開催が明らかになっています。9月のROX66アルバム、10月のライブ、年末のディナーショーと、2026年後半のカレンダーはすでにびっしり。テレビで見かける機会は多くありませんが、活動量という意味では、むしろ全盛期に近い密度で動いている人なのです。
06まとめ
テレビの露出が減ると「消えた」と言われがちですが、植草克秀さんの場合はまったく逆でした。事務所を離れ、自分の会社を作り、ホールとライブハウスとホテルの宴会場を回りながら、少年隊の楽曲を自分の声で歌い継いでいる。その先に、還暦での新ユニット結成という一手まで用意されていた。マイペースを公言しながら、やっていることは相当にアグレッシブです。
植草克秀 2026年現在まとめ
- 1966年7月24日生まれ、2026年7月に60歳(還暦)を迎えた。
- 2020年12月に事務所を退所し、2021年1月に個人事務所「2steps」を設立。
- ソロツアー『MOVING ON』は2026年で5シーズン目。5月に東京・日本橋三井ホールと神戸朝日ホールで開催。
- 2026年7月、大阪・東京・名古屋で還暦記念公演『Cheers to 60 years!』を実施。
- 作曲家・井上ヨシマサさんと新ユニット「ROX66」を結成。9月16日にミニアルバム『SIDE BY SIDE』、10月1日にKT Zepp Yokohama公演を予定。
- 2026年4月にはテレビ朝日系『ボーダレス〜広域移動捜査隊〜』第3話へゲスト出演し、南野陽子さんとドラマ初共演。
- 少年隊については「解散はしてない」との立場を崩さず、ソロステージでヒット曲を歌い続けている。
「グループに終わりはない」という言葉は、嵐へのエールであると同時に、自分自身への宣言でもあったのだと思います。3人がそろう日が来るのかどうかは誰にもわかりません。それでも、黄色いメンバーカラーを背負ってきた人が、還暦を過ぎてなお新曲を出し、20分間踊り続けている。その事実だけで、あの時代をリアルタイムで見ていた人間としては十分に励まされます。次にステージへ足を運ぶなら、きっと「仮面舞踏会」のイントロで、あの頃と同じように背筋が伸びるはずです。