「裸エプロン」のジャケットがやたらと話題になった「カレーライスの女」。あの強烈なインパクトで2000年代初頭をにぎわせた歌手・ソニンさんを覚えている方、多いのではないでしょうか。EE JUMP(イー・ジャンプ)のメンバーとして10代でデビューし、バラエティでも引っ張りだこだったあの女の子が、いつの間にかテレビから姿を消した——そんな印象を持っている方もいるかもしれません。でも実は今、ソニンさんは日本ミュージカル界を代表する実力派女優として、まったく違うフィールドで輝いています。2026年現在のソニンさんの「今」を、全盛期の活躍からじっくり振り返っていきましょう。

01ソニンのプロフィール

名前
ソニン(Sonim)
生年月日
1983年3月10日(43歳)
出身地
高知県
所属事務所
アミューズ
主な活動
女優・歌手(ミュージカル)
デビュー
2000年・EE JUMPのメンバーとして
代表曲
「カレーライスの女」「おっととっと夏だぜ!」(EE JUMP)
受賞歴
第41回菊田一夫演劇賞 演劇賞

2026年で43歳。「カレーライスの女」の頃の女の子も、今ではすっかり日本ミュージカル界の中心人物です。時の流れを感じますね。

02全盛期の活躍――カレーライスの女とアイドル時代

EE JUMPでの鮮烈デビュー

ソニンさんが芸能界に登場したのは2000年。つんく♂さんプロデュースの男女ダンスボーカルユニット「EE JUMP」のメンバーとして「LOVE IS ENERGY!」でCDデビューしました。相方のユウキさん(後藤真希さんの実弟・後藤祐樹さん)とのコンビで、つんく♂ファミリーらしい元気いっぱいのパフォーマンスが持ち味でした。

ブレイクのきっかけになったのが、2001年リリースの3枚目のシングル「おっととっと夏だぜ!」です。オリコンチャートで最高5位を記録し、夏の定番ソングとしてお茶の間にも一気に浸透。一躍売れっ子アイドルの仲間入りを果たしました。あのサビを口ずさんだことがある、という方も多いはずです。

「カレーライスの女」で強烈な印象を残す

ところが2002年4月、相方のユウキさんが不祥事で脱退し、EE JUMPは事実上の解散に。ここでソニンさんは大きな岐路に立たされます。そして同年8月、ソロ歌手として再デビューを果たしたのが、あの「カレーライスの女」でした。

つんく♂さん作詞・作曲によるこの曲は、裸にエプロンというジャケット写真とプロモーションビデオが大きな話題に。当時まだ19歳だったソニンさんの思い切ったビジュアルは、賛否を呼びながらも強烈な存在感を放ち、3週にわたってオリコンのトップ20入りするヒットになりました。タイトルのインパクトもあって、今なお「あの曲ね」と思い出す人が多い、ソニンさんの代表曲となっています。

バラエティでも引っ張りだこに

歌手活動と並行して、ソニンさんはバラエティ番組でもおおいに活躍しました。物おじしないキャラクターと体当たりの企画ぶりで、一気にお茶の間の人気者に。

なかでも語り草になっているのが、2002年の音楽番組『うたばん』での挑戦です。出身地の高知県から、祖父の故郷である韓国・居昌(コチャン)までの約570kmを走破するという過酷なマラソン企画に挑み、その姿が大反響を呼びました。ソニンさんは在日コリアンとして自身のルーツを公にしており、この企画は彼女のバックボーンを伝えるものとしても印象深いものでした。

10代でアイドルとしてデビューし、歌にバラエティにと駆け抜けた数年間。今のミュージカル女優ソニンさんからは想像できないかもしれませんが、この時期の経験がのちの幅広い表現力の土台になっていきます。

03キャリアの転機――歌手から舞台へ

ソニンさんのキャリアでもっとも大きな転機となったのが、歌手・タレントから「舞台」への軸足の移動です。これは「転落」ではなく、自ら選び取った成長の物語でした。

  • 2000年10月EE JUMPのメンバーとしてCDデビュー。つんく♂プロデュースのアイドルとして活動を開始。
  • 2001年「おっととっと夏だぜ!」がオリコン最高5位の大ヒット。一躍人気アイドルに。
  • 2002年8月EE JUMP解散を経て、ソロシングル「カレーライスの女」で再デビュー。大きな話題を呼ぶ。
  • 2003年ごろ俳優として本格的に活動を開始。ドラマや舞台に活躍の場を広げる。
  • 2012年末文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨークへ。約1年間、本場で演技を学ぶ。
  • 2016年『RENT』『トロイラスとクレシダ』『ダンス オブ ヴァンパイア』での演技が評価され、第41回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞。
  • 2020年10月芸能活動20周年。「カレーライスの女」のアンサーソング「ずっとそばにいてね。」をつんく♂とのタッグで発表。
  • 2024年7月韓国発ミュージカル『ラフヘスト〜残されたもの』日本初演で主演・訳詞を担当。

転機の起点となったのは、大竹しのぶさんと共演した舞台『スウィーニー・トッド』だったといいます。本場の演技に触れるなかで「もっと舞台がやりたい」という思いが強くなり、2012年末には文化庁の研修制度を使ってニューヨークへ。1年間みっちりと演技を学び直しました。

人気アイドルとして注目を浴びた人が、看板を一度脇に置いて、ゼロから演技を学びに海外へ飛び込む——簡単に決断できることではありませんよね。この選択こそが、のちの「ミュージカル女優ソニン」を形づくることになります。

04ミュージカル女優ソニンの実力

菊田一夫演劇賞という勲章

ニューヨークでの研鑽を経て帰国したソニンさんは、舞台女優として一気に評価を高めていきます。その象徴が、2016年に受賞した第41回菊田一夫演劇賞 演劇賞です。

これは演劇界で長く権威ある賞のひとつで、その年の『RENT』『トロイラスとクレシダ』『ダンス オブ ヴァンパイア』という3作品での演技がまとめて評価されての受賞でした。アイドル出身というキャリアからは想像しづらいかもしれませんが、ソニンさんはここで名実ともに「実力派ミュージカル女優」としての地位を確立したのです。

大作ミュージカルに次々と主要キャストで

その後もソニンさんは、日本のミュージカルシーンの大型作品に欠かせない存在として活躍を続けています。歌唱力と演技力、そして在日コリアンとして培ったバイリンガルな感性を生かし、難役にも果敢に挑んできました。

2025年には、英国発のヒットミュージカル『SIX(シックス)』の日本キャスト版でキャサリン・オブ・アラゴン役を演じたほか、『ウェイトレス』のドーン役、平野啓一郎さん原作の『ある男』では谷口里枝役を務めるなど、まさに引っ張りだこ。1年を通して複数の舞台をかけ持ちする多忙ぶりで、その存在感はますます大きくなっています。

恩師つんく♂との18年越しの再タッグ

舞台での活躍が続く一方で、ソニンさんは歌のルーツも大切にしています。芸能活動20周年を迎えた2020年には、デビュー曲を手がけた”恩師”つんく♂さんに本人たっての希望で再び楽曲提供を依頼。「カレーライスの女」のアンサーソングとして、新曲「ずっとそばにいてね。」を発表しました。

私の代表曲「カレーライスの女」の女の子が18年経った今どういう風に大人になったのか、そしてそれは私ソニン自身の成長した姿を投影しているような、楽曲となりました 出典:MANTANWEB 2020年9月24日

「カレーライスの女」の彼女が、18年の時を経てどんな大人になったのか。ソニンさん自身の歩みと重ね合わせたこの企画には、ファンからも温かい反響が寄せられました。アイドル時代を否定せず、地続きのものとして今につなげているのが、ソニンさんらしいところですね。

052026年現在の活動

韓国発ミュージカル『ラフヘスト』で主演&訳詞

2026年のソニンさんを語るうえで外せないのが、ミュージカル『ラフヘスト〜残されたもの』です。この作品は2024年の第8回韓国ミュージカルアワードで作品賞・脚本賞・音楽賞の主要3部門を制した話題作で、その日本初演でソニンさんが主演を務めています。

物語は、韓国を代表する天才芸術家とされた実在の二人——詩人イ・サンと、韓国抽象美術の先駆者キム・ファンギを夫に持った女性キム・ヒャガンの人生を描いたもの。ソニンさんはこの主人公キム・ヒャガンを演じるとともに、なんと自身初となる「訳詞」にも挑戦しました。バイリンガルだからこそできる、原語のニュアンスを生かした訳詞は、本作の大きな見どころのひとつです。

韓国ミュージカルアワード主要部門3冠に輝いた、ミュージカル『ラフヘスト〜残されたもの』の日本初演が決定 ソニン、古屋敬多、相葉裕樹、山口乃々華が出演 出典:SPICE(eplus)

共演は古屋敬多さん、相葉裕樹さん、山口乃々華さんという豪華な顔ぶれ。演出は読売演劇大賞で優秀演出家に選ばれた稲葉賀恵さんが手がけています。役者としてだけでなく、訳詞という新たな役割でも作品を支えるソニンさんの姿は、表現者としての幅をさらに広げていますね。

フジテレビ月9『サバ缶、宇宙へ行く』に出演

ソニンさんの活動は舞台だけにとどまりません。2026年4月クールには、フジテレビの月9ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』に皆川有紀役で出演しました。

このドラマは、教師と高校生が”宇宙食開発”に挑戦した実話をもとにしたハートフルな学園もの。北村匠海さんが主演を務め、八嶋智人さん、三宅弘城さん、村川絵梨さんらが脇を固める豪華キャストの一角に、ソニンさんも名を連ねました。ミュージカルの大舞台と並行してゴールデンタイムの連続ドラマにも出演する——その幅の広さは、長年さまざまなジャンルを経験してきたソニンさんならではです。

映画『モアナと伝説の海2』では歌声も披露

声の表現でも、ソニンさんは存在感を見せています。ディズニーの大ヒット映画『モアナと伝説の海2』では、新キャラクター「マタンギ」の日本版声優を担当。これはアメリカでのオーディションを勝ち抜いての抜てきだったといいます。

劇中ではマタンギが歌うシーンもあり、ソニンさんのソウルフルな歌声がたっぷりと堪能できます。ミュージカルで鍛え上げた歌唱力がアニメーション作品でも生きているわけで、「やっぱりこの人、歌がすごいんだな」と改めて感じさせてくれました。

公式SNSでの発信も活発

ソニンさんは公式X(旧Twitter)やInstagramでも、舞台の情報や日々の活動をこまめに発信しています。お料理好きとしても知られていて、ファンとの距離感の近い発信が魅力です。最新の出演情報を追いたい方は、公式アカウントをチェックしてみるとよさそうです。

06まとめ

「カレーライスの女」の強烈なインパクトで記憶している人にとって、今のソニンさんの姿は驚きかもしれません。10代でアイドルとしてデビューし、歌手・タレントとして時代を駆け抜けたあと、海外での修業を経てミュージカル女優へ。2026年現在、43歳のソニンさんは日本演劇界に欠かせない実力派として、堂々とした歩みを続けています。

ソニン 2026年現在まとめ

  • 2000年にEE JUMPでデビュー、2002年「カレーライスの女」でブレイク
  • 2012年末に文化庁制度でニューヨーク留学、本格的に演技を学ぶ
  • 2016年に第41回菊田一夫演劇賞 演劇賞を受賞、実力派女優の地位を確立
  • 2024年〜韓国発ミュージカル『ラフヘスト〜残されたもの』で主演&初の訳詞に挑戦
  • 2026年春のフジテレビ月9『サバ缶、宇宙へ行く』に皆川有紀役で出演
  • 映画『モアナと伝説の海2』でマタンギ役の日本版声優を務め歌声も披露
  • 20周年には恩師つんく♂と再タッグ、アイドル時代も大切にしている

アイドルから実力派ミュージカル女優へ。決して平たんではなかった道のりを、ソニンさんは一歩ずつ自分の力で切り開いてきました。歌・芝居・声と、表現の引き出しを増やし続けるその姿は、これからもますます多くの舞台やスクリーンで見られそうです。次にどんな役を見せてくれるのか、楽しみに見守っていきたいですね。