夕方の歌番組で、長い前髪の下からギターをかき鳴らしながら歌う姿。1988年に「DAYBREAK」でデビューした男闘呼組の、ボーカル兼リードギタリスト・成田昭次さん。アイドルなのに全部自分たちで演奏する、あの「本物っぽさ」に痺れた人は多いはずです。けれど1993年の活動休止のあと、成田さんの名前をテレビで見かけることはめっきり減りました。あれから30年以上。「成田昭次は今、何してるんだろう?」と検索してたどり着いた方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、2026年の成田さんは、たぶんあなたの想像よりずっと忙しく音楽をやっています。自叙伝を出し、バンドを2つ抱え、秋には全国ツアー。その全部を、順を追って追いかけていきます。
01成田昭次さんのプロフィール
- 本名
- 成田 昭二(なりた しょうじ)
- 生年月日
- 1968年8月1日(2026年8月時点で58歳)
- 出身地
- 愛知県名古屋市熱田区
- 身長
- 175cm
- 担当
- ボーカル、ギター(シンガーソングライター)
- デビュー
- 1988年8月24日/男闘呼組「DAYBREAK」
- 所属
- 東京レコード
- 現在の主な活動
- Rockon Social Club/NARITA THOMAS SIMPSON
本名は「昭二」、芸名は「昭次」。この一文字違いも、なんだかこの人の少しひねくれた歩き方を象徴しているようで面白いんですよね。
02全盛期の活躍――男闘呼組の熱狂
名古屋の少年が「東京男組」に入るまで
成田さんは愛知県名古屋市熱田区の生まれ。地元の商工専門学校に進んだものの、1984年10月に上京してジャニーズ事務所の合宿所に入ります。同年12月、のちの男闘呼組の母体となる「東京男組」のメンバーに。自叙伝などによれば、もともとは人前に出るのが得意なタイプではなかったといい、兄の後を追うようにこの世界へ足を踏み入れたそうです。歌って踊るグループが主流だった時代に楽器を持たされ、ひたすら練習させられた。結果としてそれが、のちに男闘呼組を唯一無二の存在にします。
1988年、「DAYBREAK」で鮮烈デビュー
1988年2月には映画『ロックよ、静かに流れよ』で映画デビュー。そして同年8月24日、シングル「DAYBREAK」でレコードデビューを果たします。成田さんはボーカルとリードギターを兼任し、作詞作曲も手がけました。事務所からデビューしたグループが自分たちで演奏し、自分たちで曲を書く。当時としては相当に異例で、だからこそ音楽好きの中高生の心をつかんだんですよね。デビュー年の勢いはすさまじく、第30回日本レコード大賞では最優秀新人賞を受賞。NHK紅白歌合戦にも出場しました。
東京ドーム、そして俳優としての顔
1989年には東京ドーム公演を実施。デビュー翌年でドームという速度感が、当時の熱狂ぶりを物語っています。彼らは「演奏できるアイドル」として独自のポジションを築いていきました。成田さんは俳優としても活動し、1993年にはテレビドラマ『お茶の間』で主役を務めています。歌って、弾いて、書いて、演じる。20代前半にして、できることが多すぎる人でした。
そして1993年、突然の活動休止
ところが1993年6月30日をもって、男闘呼組は活動休止に入ります。人気絶頂とまでは言わないまでも、まだまだやれる時期での中断でした。ファンにとっては、はしごを外されたような感覚だったと思います。この「志半ばの休止」が、のちに30年後の物語へつながっていくことになります。
03活動休止からの長い空白
男闘呼組の休止後、成田さんは1995年にジャニーズ事務所を退所します。ここからの約25年間は、いわゆる「表舞台」からは離れた時間でした。ただ、音楽そのものをやめていたわけではありません。
1997年には「INORGANIC」を結成。2001年の解散後は「What’s」を立ち上げ、2004年にメジャーレーベルからマキシシングルもリリース。2006年には一時「成田昇司」という表記に改めた時期を経て「SNAG」を結成しています。決して順風満帆ではないけれど、ずっとギターは握り続けていたわけです。
流れが大きく変わったのは2009年でした。同年9月、成田さんは自宅で乾燥大麻を所持していたとして大麻取締法違反の疑いで逮捕されます。12月10日に懲役6か月・執行猶予3年の判決を受け、音楽活動からも長く離れることになりました。2026年1月に出た自叙伝でも、この件について本人が言葉を選びながら振り返っています。
その後の成田さんは地元に戻り、一般企業に勤めながら生活していたと語られています。のちのインタビューでは、会社勤めをした時間があったからこそファンのありがたみが骨身にしみた、という趣旨のことを話しています。ここ、けっこう泣かせる部分です。
- 1984年10月名古屋から上京し、ジャニーズ事務所の合宿所に入所。同年12月に「東京男組」のメンバーとなる。
- 1988年8月「DAYBREAK」でレコードデビュー。第30回日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞。
- 1989年デビュー翌年にして東京ドーム公演を実施。
- 1993年6月男闘呼組が活動休止。同年、ドラマ『お茶の間』で主役を務める。
- 1995年事務所を退所。以後はインディーズを中心にバンド活動を続ける。
- 1997年〜2006年INORGANIC、What's、SNAGなど複数のバンドを結成・活動。
- 2009年9月大麻取締法違反の疑いで逮捕。同年12月10日に懲役6か月・執行猶予3年の判決を受け、長く活動を離れる。
- 2019年ジャニー喜多川さんのお別れの会に参列し、久々に消息が報じられる。
- 2020年11月約10年ぶりにライブのゲストとしてステージに復帰。チケットは即完売となった。
- 2022年7月男闘呼組が約29年ぶりの活動再開を発表。TBS『音楽の日』で4人そろって歌声を披露。
- 2023年Rockon Social Clubが始動。8月26日の日比谷野音公演をもって男闘呼組は解散し、大晦日には第74回NHK紅白歌合戦に出演。
- 2026年1月15日自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』を集英社より刊行。
04再結成と解散そして新バンドへ
一通のメールから始まった再会
長い空白を破るきっかけは、意外なほど日常的なものでした。かつての仲間である高橋和也さんからの連絡、そして岡本健一さんからのメール。成田さんは当時を振り返り、自分は皆に迷惑をかけた人間だから連絡なんて来るはずがないと思い込んでいた、という趣旨のことを語っています。
2019年、ジャニー喜多川さんのお別れの会。ここで4人が顔を合わせたことが、決定的な一歩になりました。「それより、スタジオに入ろうよ」――そんな一言が、29年止まっていた時計を動かしたと伝えられています。
2020年の復帰ステージと、2022年の再結成
2020年11月、成田さんは他アーティストのライブにゲスト出演する形で、約10年ぶりにステージへ。「10年以上ぶりなので緊張しています」とコメントしたこの出演は、チケットが瞬時に完売する反響を呼びました。そして2022年7月16日、男闘呼組が約29年ぶりの活動再開を発表。ただし「2023年8月までの期間限定」という条件付きでした。TBS『音楽の日』でのパフォーマンス、全国ツアー、そして2023年8月26日、日比谷野外音楽堂でのライブをもって、男闘呼組は正式に解散します。期間限定と最初から宣言していたぶん、あれはきれいな終わり方だったと思います。
解散の翌年ではなく、解散の「途中」から始まった新バンド
面白いのは、男闘呼組が解散する前にもう次が動き出していたことです。2023年1月、寺岡呼人さんのプロデュースで「Rockon Social Club」の始動が発表されました。メンバーは成田さん、高橋和也さん、岡本健一さん、前田耕陽さんの4人に、プロデューサー兼ベースの寺岡さん、ドラムの青山英樹さんを加えた編成。前田さんは結成の理由について、男闘呼組の解散ライブで全部出し切るつもりだったけれど、まだできることがあるのではないかと思った、という趣旨の発言をしています。志半ばで止まったバンドの魂を引き継ぐ、という言い方がしっくりきます。
紅白、武道館、そしてレコード大賞
Rockon Social Clubの快進撃は本当に速かった。2023年3月に1stアルバム『1988』を発売すると、同年9月にはMISIAさんとの共同名義でNHKラグビーのテーマ曲「傷だらけの王者」をリリース。第74回NHK紅白歌合戦にはMISIAさんの枠で登場し、成田さんにとって実に34年ぶりの紅白のステージとなりました。2024年9月には日本武道館公演を実施。2025年11月にはコラボレーションアルバム『THE SHOW MAN』を発表し、同年12月30日の第67回日本レコード大賞で企画賞を受賞。さらに大晦日の第76回NHK紅白歌合戦にも、堺正章さんとの共演という形で出演しました。
052026年現在の成田昭次さん
1月に自叙伝『人生はとんとん』を刊行
2026年最初の大きな話題は、1月15日に集英社から発売された自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』です。B6判264ページ、2,200円(税込)。内気だった少年時代から、男闘呼組でのデビューと突然の活動休止、2009年の逮捕、芸能界からの離脱、そして50代での復活までを、自分の言葉で振り返った一冊。岡本健一さん、高橋和也さん、前田耕陽さんのコメントも収録されました。
発売にあわせて紀伊國屋書店や代官山蔦屋書店、名古屋の星野書店などで購入者向けのイベントも開催され、ファンが直接本人と対面する機会がつくられました。タイトルの「とんとん」は、人生の拍子がとんとんと進んでいくイメージから来ているそうです。雑誌のインタビューでも、この本をきっかけに当時のことを率直に語っています。
この先ちゃんと、音楽をやっている姿を見せ続けられたら、と思います。やっぱり音楽が好きなんです。 出典:anan No.2487(2026年3月11日発売)
春はNARITA THOMAS SIMPSONでビルボードライブへ
成田さんにはRockon Social Clubとは別に、もうひとつのバンドがあります。寺岡呼人さん(ベース)、青山英樹さん(ドラム)と組んだ3ピース「NARITA THOMAS SIMPSON」です。2022年に成田さん名義で始まり、2023年に現在の名前へ。2024年4月には1stアルバム『冒険者たちの詩』を発表しています。
2026年春には、自叙伝と同じ「人生はとんとん」を冠したビルボードライブ・ツアーを開催。3月のビルボードライブ横浜を皮切りに、4月の大阪・東京と回り、各会場でファーストとセカンドの2ステージを行う長丁場でした。大人の空間でジャズやソウルの匂いのするアレンジを聴かせる。これはRockon Social Clubの轟音とはまったく別の顔で、正直かなり贅沢な二毛作だと思います。
僕が音楽にもらったものを、これから時間をかけて返していきたいと思っています。 出典:anan No.2487(2026年3月11日発売)
秋からはRockon Social Clubの大型ツアー「WARRIORS」
そして2026年の本丸が、9月から始まる「KURE 5-56 Presents Rockon Social Club Tour 2026 WARRIORS」です。9月3日・4日の東京・Zepp Hanedaを皮切りに、福岡UNITEDLAB、豊洲PIT、SENDAI GIGS、Zepp Namba、Zepp Sapporoと真夏の勢いのまま北上・南下。10月10日・11日には山梨の河口湖ステラシアターという野外会場も組まれています。
さらに12月には愛知・広島・香川・福岡・大阪・宮城とホール公演が続き、12月28日の東京ガーデンシアターでフィナーレを迎えます。9月から年末までほぼ4か月、20公演超。58歳のスケジュールとしては、なかなかどうしてタフです。
11月にはセルフカバー第2弾『WARRIORS』を発売
ツアーと連動する形で、2026年11月6日にはアルバム『WARRIORS -男闘呼組 SELF COVERS- Rockon Social Club』がリリースされます。2023年の『2023』に続くセルフカバー第2弾で、CD2枚組・全32曲という大ボリューム。うち30曲は公式アプリのプレミアム会員リクエストをもとに選ばれた男闘呼組ナンバーで、そこに新曲「The Warriors」「Love Survivor」が加わります。
通常盤は4,400円(税込)、完全受注生産限定盤は22,000円(税込)で、後者は豪華BOX仕様となっています。なお、収録曲「DAYBREAK」は男闘呼組のデビュー記念日である8月24日に先行配信される予定。デビュー曲を、デビュー日に、38年後の自分たちの音で出す。この演出、憎いですよね。
メディア露出とファンとの距離
2026年2月23日からはWOWOWで「Rockon Social Club×WOWOW 3カ月連続特集」がスタート。5月28日付のオリコン週間ミュージックDVD・Blu-ray Discランキングでは、前年のツアー映像作品が初の週間1位を獲得しました。
一方、2023年10月から続いていたニッポン放送のレギュラー番組「KURE オキーフ Presents 成田昭次のRockon The Knight」は2025年9月27日の放送で終了。ラジオという定点は失われましたが、そのぶんライブとリリースの密度が上がった印象です。公式ファンクラブ「CLUB 55」やInstagramでも近況が発信されており、日常的な距離感でファンとつながっています。
06まとめ
1993年にいったん止まった時計が、30年近く経ってから動き出す。しかもその針が、以前より速く回っている。成田昭次さんの現在は、そういう不思議な光景です。逮捕という重い出来事も、会社勤めをしていた10年間も、本人はごまかさずに自叙伝で書きました。そのうえで「音楽が好きなんです」と言い切れる58歳が、9月からまた全国を回る。かつて夕方の歌番組で彼を見ていた側としては、こんなに嬉しい「今」もそうそうありません。
成田昭次 2026年現在まとめ
- 1968年8月1日生まれ、愛知県名古屋市出身。2026年8月時点で58歳。
- 1988年に男闘呼組「DAYBREAK」でデビューし、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。1993年に活動休止。
- 2009年9月に大麻取締法違反で逮捕され、執行猶予付きの判決。以後10年ほど音楽から離れ、地元で会社勤めをしていたと語っている。
- 2020年11月に約10年ぶりのステージ復帰。2022年に男闘呼組が期間限定で再結成し、2023年8月に解散。
- 現在はRockon Social Clubのボーカル&ギター、および3ピース「NARITA THOMAS SIMPSON」として活動中。
- 2026年1月15日、自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』を集英社より刊行。
- 2026年は春にビルボードライブ・ツアー、9月〜12月に全国ツアー「WARRIORS」、11月6日にセルフカバー盤『WARRIORS -男闘呼組 SELF COVERS-』の発売を控える。
かつて「演奏できるアイドル」として現れた4人のうち、いちばん遠回りをしたのが成田さんだったのかもしれません。でも遠回りした人の歌には、遠回りした分だけの厚みが乗ります。2026年秋、Zeppの最前列でも、河口湖の夜空の下でも、ホールの二階席からでも構いません。あの頃の「DAYBREAK」が、いまどんな音で鳴っているのか。それは記憶を確かめる作業ではなく、たぶん新しい発見になるはずです。